セカンド・ステージ

書くことが特になく更新がとどこっているので新聞ネタでも。

用事があって外出して、今帰宅。毎日新聞夕刊を読む。第二面の「いきいき人生」の欄。恋愛相談コーナーが始まった。


横浜市の主婦(42)の方。(どうでもいいが、男でも女でも、人の名前の後にかっこで年齢を書く習慣ってどうにかならんのか、ってぼくも使ってるが)。


悩みは以下の通り。

 高校の同窓会で、二十数年ぶりに当時のボーイフレンドに再会し、また会う約束をしました。夫はいい人ですが、仕事人間で堅物。結婚当初からロマンチックな雰囲気はなく、子供が生まれてからは私のことを「お母さん」と呼び、お互い「同居人」的な存在です。今は彼にまた会える日が楽しみで、約束の日を指折り待っています。彼も妻帯者ですので、これから時々、お茶や食事をともにできれば、と思っていますが、これって、夫への裏切りでしょうか。

「彼も妻帯者ですので…」以下は、言葉を付け足せば、「お茶や食事をともにできれば、これだけで十分だと私は思うのですが、ただそれだけでも、夫への裏切りになるのでしょうか」ということだろう。

夫がそれを望んでいなくて、この主婦の方がそれを承諾して、その上で昔のカレに会ってるんなら、裏切りになるだろうけれど、そうじゃないなら、裏切りとかそういう問題じゃないと思う。そもそも、夫に「会うのやめろ」とか言う権利なんてないと思う。この主婦はどうも奴隷根性が染み付いているようだ、といったら言い過ぎかもしれないが。


回答者の心理学者の伊東明という方は、大体以下のように答えている。

(…)過ぎてしまえば美しくピュアな思い出だけが残る(…)。

 「ロマンチックな雰囲気が欲しい」という気持ちは分ります。かつてのボーイフレンドにそういう気持ちを抱くのもOK。だから「夫への裏切り?」なんて後ろめたく思わないことですね。ときめく気持ちを明るく楽しみましょう。「夫が大嫌い。お金のために結婚し続けている」のなら問題ですが、このかたの文面からは、ちゃんと自分が幸せだと認識している様子がうかがえます。

 ただ、あらかじめ自分の中で、きちっと線引きしておきましょう。彼とは「お茶まで」、「食事まで」と自分でルールをつくることです。他人から言われても守れるものではありません。かえって反発したりしますから。

とこんなふうに書いて、最後、

夫の関係を改善するには、夫を褒めてみるのはどうでしょう。


とまとめている。


このかた、恋愛相談のプロフェッショナルらしく、著書が多数あるらしい(『恋の心理法則50』など。恋に心理法則って存在するのか。知らなかった。)。

あまり相手のことをよく知らない相手に対して行われる悩み相談というのは、「裏切りだからやめろ」とか、そういうネガティブなことはまずなんとしてでも言わない方が無難だろうから、よっぽどのことがないかぎり、ネガティブな方向には話をもっていかないと思う。で、大体、「前向き」に発想してそのうえで行動してください、と結論づけるもんだと思う。

そもそも、悩みの相談なんていうのは、次の行動がスムーズに行くよう、肩を後ろから軽く押してやって、一歩を踏み出させやすくするように機能するようにできているものなんだから、相談する前から、大体何を言うか分ってしまいそうな気がする。だから、誰かが言ったように、「悩みを相談しようと思った瞬間に、その回答はすでにできている」。まあ、このへんは異論があるかもしれない。


回答者の伊藤さんは、さすがプロといった感じで、悩み相談としてはやっぱりすばらしいことを言っている。具体的な方法も一応書いているし、さらに、ぼくが上に書いたようなことだけじゃなくて、「昔の記憶は美化されるもの」ということも付け加えつつ釘をさしている。

むちゃくちゃ単純に言えば、ポジティブなことを80%くらい、ネガティブなことを20%くらい含めて回答すれば、100点満点の答えになるのだろうか。


この主婦の体験とよく似たような物語をどこかで読んだ気がするのだけれど、思い出せない。


どうでもいいが、ぼくがもし結婚したとして、こんなふうに配偶者から相談されたら、「絶対会うな」とか言ってしまいそうな気がする。でも、それってぼくのエゴイズムでしかなくて、女性にも人権があるのだから・・・うんぬん。


うーむ、そのときは誰かに相談しよう。