[留学][フランス]

 前回書いたように、留学受け入れを求める手紙を、フランスの大学の先生3人に送ったのだけれど、先生の対応に触れる前に、手紙の内容がどのようなものだったかについて、書いておきます。

 手紙を書く前に、僕の先輩や先生にどのような内容がよいか聞いてみました。返答は皆、ばらばらでした。


 ある一人の先輩の話によると、Eメールで自分の勉強している内容を、2行くらいで書いて送ると、先生からすぐ返事が来て、「もっと詳しく教えてくれ」と言われ、A4一枚くらいの文量の研究計画を書いたとのこと。この先輩は、それで受け入れを了解してもらい、現在、勉学に励んでおられます。

 もう一人の先輩は、研究計画をA4で2〜3枚程度のものを用意して、封書で送るのがいいとおっしゃってくれました。Eメールは、先生によって、しっかり確認していない先生もいるし、封書の方がより丁寧だろうという理由でした。この先輩もいまフランスで研究されています。

 僕の指導教授からは、「3枚とか4枚とか、そんな長いのを書いても、先生は忙しいから、読んでくれないよ、1枚か2枚くらいで簡潔に書きなさい」という話を聞きました。

 先生の話が一番もっともらしいと思ったのですが、自分でいざ書いて推敲してみると、4枚くらいになってしまい、これ以上減らせないと思ったので、そのまま送ってしまいました。単語数は、今確認してみると、1600字程度となっています。

 僕は「留学したいので指導してください」という手紙と「研究計画」を二部に分けて送りました。上記3人の方々は、分けるべきかどうかについては、何もおっしゃらなかったのですが、僕は、分けるべきだと勝手に思って、そうしました。

 前者の手紙では、自分の所属する大学と専攻、日本で指導してもらっている先生の名前、おべんきょしている対象、修士論文の題、あとは、DALF C1を取得しているということを書きました。そして、いつから留学したいのかということと、奨学金の書類に必須だった「留学受け入れ証」を先生にかいてもらわなくてはならないということを強調しました。

 以上の内容を、A4一枚半程度(単語数約480字)で、ものすごく丁寧なフランス語を使って書きました。

 参考にさせてもらったのは、「フランス公法学研究日誌」でおなじみのdpiさんが、いつかアップしてくださっていた手紙と、『スタンダードフランス語講座 (5) 手紙と商業文』という本です。後者は30年以上前に書かれた本なので、いまは言葉の使い方がもしかすると変わってきているのかもしれません。

 大事なのは、自分の書いた文章を、フランス人に見てもらうことだと思います。僕の場合、お見知り置きさせてもらっている2人のフランス人の先生に、非常に丁寧に読んでもらいました。

 日本語の添削でも同じだと思いますが、ひとりひとり言葉の使い方は微妙に違います。こっちの先生が「これでいいよ」とおっしゃってくれても、もう一人の先生は「だめだ」という場合がよくあると思います。僕の場合は、一人は50代、もう一人は30代と年齢も違うということがあったせいか、添削してくれた箇所は同じところの方がもちろん多かったのですが、一方はスルーし、もう一人は赤を入れてくれるという箇所が何点もありました。

 訂正の文章に関しては、まったく一致していませんでした。両者の意見を参考にして、自分の考えがよく伝わるなという方の文章を採用しました。

 なので、送った手紙と研究計画は、二人の意見が両方とも反映されたごちゃまぜの文章になってしまいましたが、一人の先生からは、「貴方は外国人なのに全然間違いがないフランス語を書く」とほめてもらいましたので、何とかなったと思います。2人から添削してもらって、両方の意見を参考にして再構成するという方法をとらなければ、ここまでほめてくれなかったんじゃないかと思います。

 2人に添削してもらったのは、読み方がいい加減でしっかり添削してくれなかったら嫌だなと、当初思っていたからなのですが、十分その可能性はあるので、2人以上に見てもらったほうが無難だと思います(僕の場合、幸い両方とも非常に丁寧に見てくださったのでよかったのですが)。

 次回は、先生の対応について書こうと思います。