[ターメリック]読売新聞のフランス暴動についての記事

本日(11月27日)の読売新聞朝刊の記事。大見出しは「移民差別根深く 増える隔離地域」とあり、その下には「過激派の温床化懸念」との文字。

フランスで若者らの暴動が発生して27日で1ヶ月。暴動は沈静化したものの、移民2,3世への差別の根は深く、仏社会の根幹を揺るがす問題となっている。移民2,3世が集中して暮らす都市郊外の「ゲットー(隔離地域)」は急増しており、イスラム過激派の温床になるのではないかとの懸念も高まってきた。

島崎雅夫という記者が書いた記事なのだが、妙に気になる点が幾つもある。「差別の根は深」い?うーむ。特に後半部分の「ゲットー(隔離地域)」は急増」、「イスラム過激派の温床になるのではないかとの懸念」は、こんな書き方でいいのだろうか。「ゲットー」の意味が不明、誰が「懸念」しているのかも不明である。

読み進めていくと、

81年には移民2世らが仏第3の都市リヨン郊外で初めて、車両を焼き討ちする暴動を起こした。仏情報機関によると、この時、移民2生らの不満が充満した「危険な郊外」は全国で22か所。危機感を抱いた仏政府は教育や福祉で重点援助を行ったが、「危険な郊外」はその後、83年に120か所、91年には400か所と急増し、現在の630か所にまで膨れ上がった。

とある。「仏情報機関」とはいったい何の組織なんだろうか。この記事からはわからない。「危険な郊外」の定義も書いてない。

このうち、今回の暴動が吹き荒れたのは約300市町村の「ゲットー化した郊外」(約200万人居住)。暴徒の半数は18歳未満のみ成年者だった。(…)ボビニー裁判所のローゼンスベイク副所長は「警察の補導歴のない者も多かった。若者の不満が増幅されている証拠」と分析する。

「危険な郊外」のなかに、「ゲットー化した郊外」が含まれると読めるのだが、「ゲットー化した郊外」の定義は不明。「暴徒の半数は18歳未満」ということは、半数以上は成人であるということか。「移民2,3世への差別」を原因と考えているんだとしたら、暴徒の出自についても統計を上げておく必要があると思うが、書いてない。

引用の副所長は、「若者の不満」の増幅を原因としている。どういう文脈でこの言葉が出てきたのかわからないが、若者の不満の増幅「も」ではなく、若者の不満の増幅「が」原因と書いている。「若者の不満」と、移民であることに対する「差別」とは、別個に論じられるべきだと思うのだが。「警察の補導歴のない者も多かった」とあるが、この記事では、さらっと流されている。サルコジさんの「くず」発言との関係について知りたいが、書いてない。

そのほかにも、気になる点多数。

仏情報機関はゲットー化した郊外300か所のうち200か所にイスラム過激派が入り込んでいると見ている。

「マフィアに簡単に取り込まれたように、イスラム過激派に走る可能性」(同[仏情報機関]副所長)も高まっている


などなど。


極めつけは以下のような断言。

仏国家は、仏国家と取得したものは誰でも、民族を問わず、「平等」に扱うことを建前としてきた。だが、荒れる郊外の現状は、この原則が破たんしたことを浮き彫りにした。すでに、民族にもとづく優遇政策導入の是非などの議論が始まっている。

同化主義の原則ってすでに「破たん」してしまったのか。知らなかった。「優遇政策導入」の議論って誰がはじめているんだろう。それも書いてない。


わからないところだらけで、ほとんどプロパガンダなんじゃないかと思ってしまった。