ルモンドの小泉関連記事、靖国問題など

ル・モンド紙に、最近の小泉の言動が取り上げられています。これがその記事です

「太平洋戦争で降伏して60年たった今でも、日本は被害者ぶることをやめていない(Soixante ans après sa reddition, le Japon continue de se poser en victime de la guerre du Pacifique」という題になっています。

se poser en というのはたぶん「気取る」とかそういう意味だろうから、何かあるものを隠して別様に振舞っている位のニュアンスでしょう。日本は自分が「侵略者」だとは認めたくないんだねと受け止められているということです。

中身を読むと、事実的に間違っている点がいくつかあるだけでなく(例えばこの記事では「15年戦争」は1930年にはじまったことになっている)、「被害者か侵略者」かの二分法で雑に書かれており、日本人(ここでは複数形の日本人des japonaisのことです。本稿ではほとんど単数形が用いられていますle peuple japonaisなど )の戦争への錯綜する記憶が十分に論じられていません。戦犯が合祀されているところへの参拝は「被害者」面しているということになるらしい。ほかにも「修正主義」(négationnisme)とかそういう言葉が使われています。


この記事を読んでほんとうにうんざりしました。ぼくが靖国公式参拝に反対なのは、このような誤解が横行するというのが第一の理由だったので。こういう言い方はやる気のないように聴こえますが。

中韓関係は、当然日米関係も念頭に置きながら考えないといけないと思っていましたが、ル・モンド

60年後、北京の地域的野望に対抗するアメリカのもう一つの戦略に日本は加担しており、ワシントンは小泉の靖国参拝を静観している。
Soixante ans plus tard, le Japon participe à une autre stratégie américaine visant à contrer les ambitions régionales de Pékin, et Washington reste silencieux sur les visites du premier ministre à Yasukuni

と評しています。


このように受け止められてしまうのは、ル・モンド紙のこの記事が短絡的なのか、日本の説明が不十分なのかどちらなんだろう。両方だったら救いようがない。