たべもの


id:hinakiukさん(はじめまして。)経由で「シラクの悪口」を知る。(日本でも報道されているようです→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050705-00000211-yom-int)

あんなに食べ物の不味い国のことなど信用できない。フィンランドの次に食べ物が不味い国だ


原文は以下の通り。『リベラシオン』紙より(http://www.liberation.fr/page.php?Article=308723)。

«Après la Finlande, c'est le pays où on mange le plus mal.»


上記の日本語のニュースの中にもあるが、プーチンに「ハンバーガー(アメリカのこと)は?」とふられて、またもシラクは「ハンバーガーもだめ」とばっさり。ハンバーガーは多くのフランス人も好きだと思うのだが。


あきらかに口が滑っている。



ありきたりだがブリア・サヴァランのこの一節を思い出す。
美味礼讃 (上) (岩波文庫 赤 524-1)

どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人であるかを言いあてて見せよう。(上巻23ページ)




「まずいものを平気で食べている」=「信用できない」というのは、この警句をふまえてのことなのだろうか。いずれにしてもシラク発言はステレオタイプにしばられた何の根拠もない「挑発」にすぎない。


個人的にはこの手の話には興味があって、いつごろからこのような言説が首脳の会談の場で出てくるようになったのかいつか調べようと思っているのだが、なかなか探し当てるのが難しい。
古本屋で偶然見つけ、積ん読状態で部屋の片隅に放置されているジャン=ポール・アロン『食べるフランス史―19世紀の貴族と庶民の食卓』(原著Jean-Paul Aron, Le Mangeur du XIXe siècle, Paris, 1973)に書かれている気もする。

首脳の発言だけではなく、いつごろ食べ物のイメージがその国の様態やその国の人々のありようを固定的、一面的に想起させるようになるか、という問題についても興味がある。なんとなく予想はつきそうな気もするが調べてみるのも面白そうだ。