フランスの中国報道

cinna85mome2005-05-02

フランスのことをぜんぜん書いてないので、さっき見たフランスのニュースのことについて書く。最近はインターネットでフランスのニュースが見れるので、フランス語の聞き取りのおべんきょに大変重宝する。ぼくの知っているのはTF1とFrance2のテレビ局のもので、今日は5月1日(日)の夜8時のFrance2のニュースから(→http://le20heures.france2.fr/)

昨日は周知のとおり「メーデー」で、パリとローマでのマニフェスタシオンの様子が写されていた。今、フランスでは、今年は5月15日のPentecôte(日本語ではペンテコステ、五旬祭といわれる、キリスト教のお祭で復活最後の第7日曜日)の、国民の祝日である16日(月)も「義務的に働」かせようとする動きが政府から出ている。今年のマニフェスタシヨンは、それに反対して、"Touche pas à mon jour férié"の主張が目立つようだ。もちろん、この日のデモはふつう、労働者の「全般的な不満足感」を表明するものであるから、それにかぎらず、給料を上げるなどして購買力を上昇させることを主張したり、ある団体は「パリで12人が餓死した」と訴えたり、その相貌は「要求のメルティングポッド」となっていた。組合側によれば、今年のデモ参加者は全フランスで10万人、警察側の発表では7万人で、健康保険問題でもめていた去年のデモの半分の規模だったらしい。

その後に、珍しく、中国の様子が放映される。中国では、法律で認められている年3週間の休暇のうち5月1日周辺には1週間が当てられるようで、ここではこの休暇を利用しての「天安門」への「巡礼」の様子が紹介されていた。「メーデー」時のデモは「社会秩序低下」を恐れて原則的に禁止されているらしい。だが、毛沢東がこの場で人民共和国の宣言をした(1949)ということもあって、デモは禁止されても人々はこの日を忘れてはいないらしい。しかし、1999年6月4日の学生らの蜂起活動である天安門事件後は、天安門は、毛沢東の建国宣言のシンボルというよりもこの事件のシンボルと今ではなっているとのこと。


興味深かったのは、北京で起こっていた反日デモが当局によって抑えられたのは、この「巡礼」のためであると説明されていたこと。リポーターは「5月1日のために(…)中国人はツーリスムとナショナルな視線(le regard national)との間で、今回は旅の楽しみを選んだ」と言っていた。バンドン会議50周年で小泉首相が、過去の戦争の謝罪をしたことや、日中両首脳の間で会談があったというような背景を全然言わないで、こういうふうに伝えられては、説明足らずの観が否めない。だいたい、反日デモ参加者は過去最大規模だったが、彼らは中国人の中でもごく一部であった。確かに当局が「(アンチナショナルな)状況を抑えた」のは「巡礼」のためだけ、とは言っていなかったし、この報道は反日デモについてのものでもなかったのだが、誤解を招くような報道だったと思う。