ぺ様

cinna85mome2005-04-24

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050424-00000013-nnp-int

韓国の俳優ペ・ヨンジュンさんの次回主演映画「外出」(邦題・四月の雪)の撮影中現場を見学する日本からのツアー客約二千六百人が二十三日、ソウルに集結。日韓関係悪化の中、大挙してやって来た日本人を目の当たりにした韓国人たちは「領土・歴史問題を突き抜けている」と驚いていた。

これは非常に興味深い。「日韓関係悪化」というのが、どれだけ「日本人」にリアリティーのある問題なのかを示す、良い例であると思う。竹島がどっちの領土に属するかは、両国の現在なお解決していない懸案であるが、そんなことにはまったく眼もくれない、ある韓国人俳優の熱狂的ファンの存在は、「つまらない」ことで四の五の言うなというメッセージを発しているのだろうか。

3月の島根県議会「竹島の日」条例制定、それにともなう、従来島根県と姉妹提携していた慶尚北道の交流中断通告、外交通商相の訪日延期(http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050306/mng_____tokuho__000.shtml)など、政治レヴェルでは、日韓国交正常化40周年の今年に、緊張関係が再発したと報道されている。そこに、この「ヨン様」すきすきマダム(だと思う)の大群の登場である。こういう悪気のない「不真面目」な輩をどう位置づけるかが、両国の問題を解決するのに結構重要なんじゃないかと思ったりする。

ぼくとしては、名目的な意味しかもち得ないだろう、威圧的な条例制定という強硬策は、韓国の反発を買うだけで、戦略的にもあまり有効ではないような気がしている。日本政府も40年来の懸案をほったらかしにし両国の友好をアピールしようとしすぎて、県への配慮が欠けていただろう。島根県は、もっと別の形で、韓国にではなく「強硬に」日本政府に圧力をかけるべきだと思う。ロジックとしてはやはり日本に分があると思う。話し合いで行けば勝てるのではないか。わざわざ面倒なことはやらなくてもいいのではないかと今は考えている。威圧的にふるまうナショナリストはむしろこういう熱狂的ファンを政治的に利用すべきなのではないか。つまり、日本の顔として、この「不真面目な」連中を表に立てるのである。圧力的な条例を、日本の韓国に対する意見の代表としては損だと思う。

県民でもない、漁民でもない者にとっては、その人がいくら「日本人」であろうと、単なる「他人事」なんだという、ファンの無垢であからさまな開き直りは(もしかしたら竹島のことなんか知らないかもしれない)、当事者をいらだたせるだろう。竹島が日本領土だというロジックの正当性を信じ韓国に圧力をかける「真面目」な人らを挑発する無神経な行為であろう。こんなことをするから日本はなめられるのだ、と言われるかもしれない。

しかし、「真面目に」論理の正しさでごりごり攻めると、韓国はきまって「記憶」の問題を口にし(これもまたあんまり良い方法ではないとおもう)、両政府が話し合う機会すら逃してしまっているような気がする。

日本としてはこの一群を、日本の代表意見として表象する努力をすべきではないか。「ぺ様」でなく「ヨン様」と呼んでしまう(多分)、ロジックも何もないこの「不真面目」で政治になんかまったく関心のないマダムの純粋な「ヨン様」への愛を、韓国への愛へとすりかえるような巧妙さが、政治の場に求められると思う。これを利用するなどして、敵意をあらわにしないことが、領土問題を解決するための話し合いの場を設けるためには、効果的だと思う。





うーん、やっぱり甘いな、こんな考え方は・・・。難しい。


*主演映画「外出」(邦題・四月の雪)って、なんやこれ。意味不明。