仏人ジャーナリストとイラク人運転手解放について

cinna85mome2005-06-15


157日前、僕はまだグルノーブルにいた。で、帰ってきてもうこんなに暑くなっている。あっという間に時間が過ぎていった。その間にいろんな楽しいことがあった。

フロランス・オブナ(ス)さんとユセン・アヌンさんはその間、ずっと地下室にいた。

昨日、オブナさんの記者会見があった。→http://www.liberation.fr/page.php?Rubrique=AUBENASのページのVIDEOのところから記者会見の様子(1時間30分あまり)を見ることができる。

大変なことがあったのにもかかわらず、話の途中に何度も冗談をいれ聞き手を笑わす。本当に気丈な人なんだなと思う。彼女も触れていたが、1日80文字しかずっと話せなかったというのに、よくこんなに声が出るなと、ちょっと泣きそうになってしまった。なんでやねん。


オブナさんは、会見の冒頭で、みなが気になる「身代金」のことを話していた。「道で会った人も家族も、彼らに限らず「やっぱり身代金あったんでしょ」と言うけれど、お金のことについては私は聞いてない」と。


日本人の中にも誘拐されて無事に帰国した人がいるが、日本の大手の報道機関は「身代金」の支払いについてまったく何も言わなかったような気がする。あったのかなかったのか、ということはもちろん身代金のみの字も発さなかった。

この前の日曜日のFrance2の夜8時のニュースでは、ミシェル・バルニエ前外相をゲストで呼んで、アナウンサーが「身代金はあったか、はいかいいえでお願いします」と、ズバリ聞いていた。答えはもちろん「ノン」。日本の報道に慣れていたこともあって、そんなこと生放送で聞いていいのか、とかなり驚いた。

こういう質問はナンセンスでデリカシーに欠けることなんだろうか。「暗黙の了解」なんだろうか。


それにしてもなぜこの時期に解放されたのかがものすごく気になる。ヨーロッパ憲法否決、lundi de Pentecôteの一連の騒動など、最近フランスでは世論が二分され、政府に対する批判の声がものすごく高まっていた。このこととやはり関係あるんだろうか。

シラクは、人質解放に際して、テレビ演説中に、「スケープゴート」として罷免したラファランとバルニエに、ねぎらいのことばをかけ、人質の解放のための彼らの「熱心な尽力」を褒め称えていた。オブナさんとアヌンさんには(シラクはオブナスと呼んでいた)「国民全員」が解放を喜んでいると、国民に代わって代弁していた。


オブナさんが飛行機から降り立ってカメラに向かって微笑み家族と再会するまでの一連のシーンを見た。何度見ても違和感がある。かなり芝居くさいからだ。オブナさんは、家族のもとに最初にむかうんだろうかと思ったら、なんと一番最初にビズーをしたのはシラク大統領だった。で、シラクの見守る中、家族とビズーを交わし抱き合った。小泉でさえここまでしなかった。大胆な演出である。

拉致被害者が帰ってきたとき、人質が無事に帰還したときの小泉と同じように、シラクの支持率は少しは上がるんだろうか。